WebPファイルよりも軽くなると言われている画像ファイル形式”AVIF”、果たして噂は本当なのか…実際に各可逆圧縮形式の静止画像ファイル容量を比較してみました。
早速ですが、結果からみていきましょう。比較用に使用した画像はWindows 11の壁紙(トップ画像の背景)です。クリップボードにコピーしたデータ(4K 3840 x 2160サイズ)を画像編集ソフトPhotoshop 2022にペースト後、各画像ファイル形式でHDD上に書き出し・保存しました。
AVIF形式に関してはPhotoshop未対応(2022年4月現在バージョン22.5.7)だったので、プラグインを使って対応・出力しました。少しでもファイルを軽くするオプションがある場合はそれを選択し低速保存しています。
- bmp:23.7MB
- psd (Photoshopのファイル形式):7.91MB
- png (最低速保存):2.69MB
- AVIF (ロスレス・最低速保存):2.33MB
- WebP (ロスレス・最低速保存):1.97MB
- 参考JPG (画質劣化あり・クオリティ9/12 ベースライン最適化):503KB
- 参考AVIF (画質劣化あり・クオリティ90/100):270KB
- 参考WebP (画質劣化あり・クオリティ90/100):244KB
1~5までは画質劣化の無い可逆圧縮、6~8は比較用に圧縮したファイルの参考値です。聞いていた前評判とは異なりAVIF形式よりもWebPファイルの方が若干ですが容量が少ない(その差0.36MB)と言う結果になりました。上記8ファイルを液晶モニター上で肉眼で確認するとjpgのみ周囲のグラデーションに若干の乱れが見られるますが、他のファイルでは違いが確認できませんでした。つまり、23.7MBもあるbmpとその約1/100サイズの圧縮したWebPファイルの違いが私にはわかりませんでした。
異なる画像データでも同様の結果となるのか…、さらにテストを重ねてみました。
次に比較テストに使ったのは当サイトの背景に使用している画像データ(4K 3840 x 2160)です。レイヤーを統合したデータをPhotoshop上でコピペして各画像フィル形式でHDD上に保存、今回もAVIF形式に関してはプラグインを使っています。
やはり今回も前回と同様の結果でAVIFの4.94MBに対しWebPは4.75MB、ほんのわずか0.19MBではありますがWebPの方がAVIFを軽さで上回っています。
- 参考psd (レイヤーがあるフォトショップ元ファイル48bit):138MB
- 参考psd (レイヤーを統合したフォトショップ元ファイル48bit):47.4MB
- bmp (Windows標準24bit):23.7MB
- png (最低速保存):10.1MB
- AVIF (ロスレス・最低速保存):4.94MB
- WebP (ロスレス・最低速保存):4.75MB
- AVIF (画質劣化あり・クォリティ90/100 画質優先):1.02MB
- AVIF (画質劣化あり・クォリティ90/100 圧縮優先):888KB
- WebP(画質劣化あり・クオリティ90/100):870KB
1~6は画質劣化の無いロスレスですが、WebP、AVIFともに非可逆圧縮も可能なので7~9のファイルは比較参考のために圧縮をかけてみました。やはり圧縮をかけた場合でもWebPファイルの方がほんの僅かですが常にAVIFを軽さで上回っています。今回も非圧縮のpngファイル10MBと最軽量のWebPファイル870KBの差はモニター上ではほとんど確認できませんでした。この点に関してはAVIFも同様で画質劣化の無いファイルと比べると容量は1/10以下なのにその差異を確認できないくらいなので、AVIFもWebPファイルもどちらも非常に優秀だと思います。
ところがさらに驚くことを偶然発見しました。9個の画像ファイルを比較のために掲載している上の画像(解像度は1920x1050)はWebPファイル形式です。拡大した時に文字がにじんだりして見難くならないようにノンレスで保存しています。それでもファイル容量はたった38KB(下の画像参照)しかありません。
- AVIF (画質劣化なし・最低速保存):86KB
- WebP (画質劣化なし・最低速保存):38.3KB
ところが同じファイル比較画像をAVIF形式でも試しに保存してみたところ、なんと86KBとWebPファイルの倍以上の容量になってしまったのです。これにはビックリです。この結果のみから安易な推論を述べるのは危険かもですが、AVIF形式は色彩が少なく解像度の小さ目なファイルの圧縮は苦手なのかもしれません。逆にWebPファイルはこの点に関しては非常に優れているとも言えます。
さらにここまでのWindows上のキャプチャ画像でおわかりのように、AVIF形式は現時点(2022年4月)ではWindows上でサムネイル表示されません。画像管理ソフトBridge 2022やFaststone Imageviewer、Thumbs plus 7.0Jで拡張子を登録してもいずれもAVIFファイルはサムネイル表示できません。
またAVIFファイルはプラグインを利用しているためか、Photoshopに最適化されていない?せいか圧縮オプションに低速を選ぶと保存に時間がかかることがありました。今回の検証に使用したPCのOSはWindows 11、Core i7(12世代)、メモリDDR4 64GB、グラボRTX3070ti、ストレージM.2、ファイルの保存先はSATA接続のHDD…と言う環境で、最大で約25秒前後も待つことになりました。これはかなりのストレスでした。ただ、WebPファイルも再低速保存する場合はAVIFファイルよりもさらに多くの時間(約45秒)が必要です。ファイルの保存時間の比較については明日公開予定の記事でもう少し詳しく触れる予定です。
以下、WebP vs AVIF 本当に軽いファイルはどちらか?(静止画像対決版)の結果まとめです。
- AVIFファイルよりもWebPの方が常に軽量
- AVIFファイルはWindows上ではサムネイル表示されない(ブラウザ経由だとサムネイル表示可能)
- AVIFファイルは画像管理ソフトでもサムネイル表示されない
- 最低速で圧縮をかけた場合保存に必要な時間はAVIFの方がWebPよりはるかに短い
- WordPressのデフォルトではAVIFファイルは未対応
- 最新版PhotoshopでもAVIFファイルを使用するためにはプラグインが必要
- 特定の条件下ではAVIFはWebPの倍以上の容量になることがある
以上、静止画像に関してはAVIFがWebPファイルを軽さで上回ることは一度もありませんでした。現状でWebPファイルを使っているなら、あえていまAVIFファイルに乗り換えたり導入する必要があるとは思えない残念な結果となっています。それでも将来を見据えてAVIFファイルを試してみたい方のために、AVIFファイルの閲覧・編集・保存ができる無料画像編集ソフト(BMP/JPEG/GIF/PNG/TIFF形式に対応)をpaint.netを紹介しておきます。
追記
上記テストから1年以上経過しても、Windows上では相変わらずサムネイル表示できません。大量の画像ファイルを使用する身としては、この点に関してだけでも現状ではWebPファイルを使用する方が使い易いと考えています。
当ブログ内のスクショ画像は活動停止したイリュージョンさんが開発・販売していたPC用3DCGエロゲー”3DキャラメイクSEXシュミレーション・プレイホーム家族崩壊”を用いて作成しています。ブログ内では”プレイホーム”または”プレホ”と省略して記載している場合があります。
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